社会活動への取り組み -細胞検査士会―
細胞検査士会渉外委員長の青木潤(呉共済病院)です。
細胞検査士会では2009年より子宮頸がん検診啓発の社会活動をしているので、その経緯を含めてご紹介させていただきます。
細胞検査士の仕事として、子宮頸がん検診は大きなウエイトを占めています。検査を行っていると1990年代後半頃から、20~30代の若い女性に初期のがんや前がん病変が、増加してきていることが我々の中で話題になっており、ウィルス感染が子宮頸がんと関係があることが判っていましたが、日本ではほとんど知られていませんでした。そして、日本の子宮頸がん検診受診率20%たらずと低く、若い女性はほとんど検診を受けていないのが実状でした。
出産前の若い女性が子宮を失うということは、言葉で言い表せないほどの苦しみであることは容易に想像できます。検診を受けていたら子宮を残すことができるのに、我々はただ黙々と細胞を見ているだけでいいのかという思いを強くしていました。しかし、細胞検査士はがんの検査(細胞診)を専門に行う臨床検査技師で、普段は病理医、臨床医との関わりの中で仕事をしているため、仕事として患者さんや一般の方に接することがありません。
1998年に細胞検査士の高山須実子さんが、子宮頸がん検診啓発Webサイト「お庭のこっこ」を作成され、一般の方に向けて情報の発信を開始されました。これが、最初の細胞検査士の継続的な社会活動と言えます。高山さんはこのホームページを作成されたことが契機となり、NPO法人子宮頸がんを考える市民の会の理事(現 副理事長)に就任されました。2008年に、NPOが4月9日を「子宮の日」と記念日登録をして、子宮を大切に考える啓発活動(Love49プロジェクト)を計画されていたので細胞検査士会もこの企画に参加することにしました。
NPOは資金集め、啓発グッズの作製、東京でのイベントを担当し、細胞検査士会は全国の支部会員を動員し街頭活動(啓発冊子の配布)を担当、4月9日を中心に活動することにしました。最初の2009年は17支部、2010年は28支部、2011年は30支部(参加表明は34支部、東日本大震災被災地4支部が活動断念)と活動の輪が広がっています。
今まで街頭活動の経験がなく、最初の年はいろいろ大変でした。街頭活動をするには最寄りの警察署に道路使用許可を申請しなくてはならず、手数料が1ヶ所につき2,000~2,500円かかり、このようなボランティア活動もタダではできません。また、単なるチラシ配りと言えども、なかなか受け取ってもらえず慣れないと苦労します。チラシ配りのコツなどをまとめた文書も用意しました。
がん検診受診率50%の目標を厚労省が唱えているので、地元の都道府県や市町村のがん検診担当部署との連携を図るように各支部にお願いしました。また、街頭活動を報道してもらうことで、啓発冊子に書いてある内容が配布数よりはるかに多く伝わるので、放送局や新聞社に取材要請をすることもお願いしました。
その甲斐があって、2011年の活動から厚労省後援事業にしていただくことができ、また毎年NHKの全国ニュースなど、各地の放送局、新聞社がこの活動を報道してくれました。そして、自治体職員、報道機関に方々に接することで、各地でこれらの方々と繋がりができていることも大きな収穫と言えます。さらに、自治体のがん検診に関係する協議会のメンバーに細胞検査士として加わることができたり、自治体のがん検診啓発活動に細胞検査士会が協力を求められたという報告も受けています。
活動を終了し、終了時の集合写真を送っていただくと、どの参加者も素敵な笑顔をされています。ボランティア活動で良いことをしたという満足感からくる笑顔はいいものです。
現在も、我国の子宮頸がん検診受診率は20%台で依然と低迷しており、これかもこの活動の継続していくつもりですが、さらに受診しやすい検診体制の改善に関る必要性も感じております。
細胞検査士会では街頭活動のほかに、市民フォーラムの開催、一般市民や中学生、高校生を対象とした講演会への講師派遣も行っています。仕事だけでは一般の方々との接点が無いので、このようなボランティア活動を通して接点をつくることにより、自らの仕事の重要性を再認識できることも大きな成果だと思っています。



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